24年度の展望台へ
23年度の展望台へ  22年度の展望台へ
21年度の展望台へ  20年度の展望台へ


GALLERY INDEXへ




colmun

◆毎回掲載しておりました「展望台」ですが、今回掲載分で終了となりました。皆様には長らくご愛読いただき、誠にありがとうございました。◆正直に言うとちょっと寂しくもあります。でも、どこかホッとして肩の荷が下りたように感じているところもあります。また、今、考えてみますと「書いた本人の個人的な思いを反映したもの」 という側面が色濃くあるのも事実です。◆印刷フォントを使った文字は、たとえどんなに考えて思いを込めた文章であっても、日々届く印刷物をくり返し見ている多くの人々にとっては、よほどの内容でない限り印象に残らず、忘れ去られていくのも早いものです。◆連載は、奮闘されている方々の生身の言葉≠ノ焦点を当ててスタート。力み、前のめりな取材姿勢で度々脱線もしましたが、ひたすら好きなことに夢中になって努力し続け、充実感、清々しさにあふれております。しかし、自分の浅薄さを恥じた取材も多かったと振り返ります。◆「心」に届く情報発信の実現を目指し、後輩たちの続編再開に期待します。

(9月30日号掲載)

◆来年11月に土木学会は100周年を迎える。◆造家学会、電気学会、日本機械学会などが次々と日本工学会から独立して創設されたのに対し、土木学会の発足は造家学会設立から四半世紀後。◆古市公威初代会長は就任演説の中で、「土木学会会員はいたずらに専門化することなく、常に工学者のリーダーであってほしい」と述べている。◆100周年を記念した行事も多数で、土木のロマンを求め、深まりゆく秋の土木ツアー「土木遺産を訪ねて」座学・まち歩きは、土木の構造物や施設、歴史と親しむ・楽しむ・学ぶ講座。◆第4弾は、江戸四宿のうち、甲州街道「内藤新宿」と東海道「品川宿」に注目、土木遺産を学び、訪ね、講義と現地散策を隔月交互に行う。◆NHK文化センターでは、夢にチャレンジした先人達。各地で国づくりに大きく貢献した、ドラマチック人物を伝える。そのなかに「ケネディも認めた上杉鷹山の大改革」がある。◆ケネディが鷹山を尊敬したのは、自助・互助の精神が、豊かで美しい国造りにつながることを実証した政治家であったからであろう。

(9月26日号掲載)

◆2006年より官民連携協働事業として行われてきた“エコビジネスの芽を見つけ、育てるコンテスト『エコ・ジャパンカップ』。◆この7年間に培われてきた様々なコンテンツを生かし、今年度に名称を変更し、オールジャパン体制で『リバイブジャパン』2013を開催する。◆5本柱は、元気で健やかな子どもの成長を見守る安心な社会、「高齢者標準」による活力ある超高齢社会、持続可能なエネルギー社会など。◆しかし、被災地では、「新しい東北」を創造していくための資金やノウハウが不足。この課題を解決するためには、被災地内外の資金やノウハウを結び付け、また、官民の力を結び付けるための新たな仕組みが必要。◆そのため、被災地内外の多様な主体の連携支援のマッチングを実施し、官民連携支援推進協議会を設立する。◆このコンテストにより、被災地内外の多様な情報が集まり、被災地内外のマッチングが促進されることを期待している。◆復興の卵を見つけ、育て、未来へ羽ばたかせる。

(9月23日号掲載)

◆日本ユネスコ国内委員会人間と生物圏計画分科会は9月4日、「只見」(福島県)及び「南アルプス」(山梨県、長野県及び静岡県)のユネスコエコパークへの推薦を決定した。◆ユネスコエコパークは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的として、昭和51年に、ユネスコが開始した制度。◆ユネスコエコパークへの登録は、各国からの推薦を受けて、ユネスコMAB計画国際調整理事会において審議し、決定することになっている。◆我が国には、現在、「志賀高原」「白山」「大台ケ原・大峰山」「綾」「屋久島」の5つのユネスコエコパークがある。◆併せて、既に登録されている「志賀高原」について、地元からの申請に基づき、区域の拡張をユネスコに推薦することが決定された。◆「只見」は、我が国を代表する原生的なブナ林が広がる。「南アルプス」は、本州中部の太平洋側における山地帯から高山帯に至る典型的な植生の垂直分布が残されている。◆白神山地などの同保護地域を大きく上回る面積を持つ「只見」、東北以北初の登録へ期待したい。

(9月16・19日合併号掲載)

◆文化放送をキーステーションに全国32局同時生放送している『ニュースパレード』の恒例夏企画、今年のテーマは『この人に栄誉賞を!』。◆各ネット局が持ち回りで、日本各地の各分野で活躍中の「地元の栄誉賞にふさわしい」人物を取り上げている。◆日本全国、各地各所で様々な分野で活躍した方々にスポットをあて、「この人こそわが地の栄誉賞にふさわしい人」を紹介。1つのことに打ち込むひたむきさや、努力する熱い姿は、人々に勇気を与え、そして感動を呼び起こす。これまでの仕事や活動を全国の方々に紹介し、その功績を称えている。◆8月1日には「彫刻家・大島よしふみさん」を紹介。瀬戸内国際芸術祭には、男木島で「オンバ(=乳母車)ファクトリー」を主催、「オンバ」を多数制作している。◆その他のでは、「女性最高齢のエベレスト登頂記録を更新登山家渡辺玉枝さん」、「盲目の熱血教師竹内昌彦さん」、KBS京都「5万回斬られた男俳優・福本清三さん」など。◆山形では「縄文の女神」だったが、焦点がいまひとつ。

(9月12日号掲載)

◆対策の遅れからトラブルが続いている東京電力福島原発の汚染水問題で、抜本的解決に向けた基本方針が政府によって示された。◆安倍総理は「汚染水問題については、東電任せにせず、政府が前面に立ち、解決に当たる。」と従来のような場当たり的な事後対応ではなく、汚染水問題の根本的な解決に向け進めていく。◆福島第1原発では、炉心の冷却で放射性物質を含む大量の汚染水が発生し、建屋の地階にたまっている。そこに山側から地下水が流入して混ざる結果、汚染水は今も毎日400dずつ増えている。また、地上タンクを造って汚染水の増加に対応しているが、8月には約300dの汚染水が漏れた。◆地下水が原子炉建屋に流れ込まないよう周辺の地中を凍らせる、凍土遮水壁の工事実施などがその柱で総額470億円。資金力と人の力が限界に達している東電の対応は、すべてが後手に回りつつある。◆放射能汚染水を海にタレ流し続ける東電と東電経営陣を、福島の住民が公害罪違反で福島県警に告発した。“あれは事故だ”は言い訳にならない。

(9月9日号掲載)

◆警察車両に『黒バイ』と呼ばれているものがある。民間利用のオートバイと同様の車体色の覆面車両のオートバイである。◆黒バイは和歌山県警察本部暴走族対策室が、暴走族の取り締まりに向け全国で初めて投入した。黒豹と名づけた黒塗りの暴走族対策専用覆面オートバイは、導入した翌月のゴールデンウィーク中には和歌山県警管轄下で58人の暴走族構成員を検挙。黒バイの活躍が大きく貢献したともいわれている。◆さらに、同県警では、ホンダ・ホーネットを追加配備、通称『銀虎』と呼ばれている。250CCの機動力を活かして、大型二輪車では追跡が難しい、狭い路地などの追跡を行っている。◆これを受け警視庁をはじめとする福岡県警察、青森県警察、宮城県警察なども黒バイ隊が編成された。◆このほかに、皇宮警察本部で使用されている車両も黒バイと呼ばれるものが存在し、交番で使用されているパトロール用小型自動二輪車も俗称として黒バイと呼ばれる。◆何れにしても、交通法規を守りましょう。

(9月5日号掲載)

◆CSR(企業の社会的責任)に関する国際規格であるISO26000が、清水建設、鹿島建設、大成建設、戸田建設、五洋建設などゼネコンに浸透しつつある。◆ISO26000は持続可能な発展を実現するために99ヵ国42機関が6年の歳月を費やし策定した。◆昨今の不祥事や環境問題などを背景に、企業の社会的に責任のある行動を求める動きが活発化。これを受け、国際標準化機構は、社会的責任の実施に関する手引きを定めた国際規格を策定し発行した。◆同規格は、企業に限らずあらゆる組織が対象。ただし、それぞれの組織の特徴に合わせて必要な部分を活用することを促すもので、認証を目的とした規格ではない。◆一方、清水建設がCSRについて先進的な試みをしている。ボランティア休暇という制度を導入しており、社員が1年間に10日間ボランティア活動に従事するための特別休暇を設けている。◆建設業界に浸透しつつある背景には、国内市場の縮小を踏まえたグローバル機運の高まり。また、CSR活動を評価する発注者もあり、こうした動きも一定のインセンティブとして機能しているとみられる。

(9月2日号掲載)

◆県内を本拠地とする男子プロバスケットボールチームの運営会社「パスラボ」が設立した。◆社長に吉村和文県バスケットボール協会顧問を選出、常駐する常務取締役兼GMに斉藤健ケーブルテレビ山形営業局長が決まった。さらに監査役は渋谷建設の渋谷豪人社長など。◆パスラボの地元出資者は、渋谷建設、前田製管、山形銀行、でん六、カスカワスポーツ、大風印刷、ムービーオン等15社。◆日本バスケットボールリーグ(NBL)の下部組織「NBDL」に加盟している「TGI・Dライズ」(栃木県)から会員権の譲渡を受け、4年後のNBL昇格を目指す。◆チーム名の公募は、「山形」がチーム名の最初か最後に入っていることが条件。締め切りは9月30日で、10月中に決定する。◆しかし、喜んでばかりはいられない。JBLとbjリーグという2つのリーグが日本にあるという歪な形態を解消するための統合組織として立ち上がったはずのNBLだが、前途多難。◆野球、サッカーに並ぶ「第3のメジャースポーツ」の地位を確保したいと夢を語る前に、一本化が先決のはず。

(8月29日号掲載)

◆鉄筋コンクリートに代わる高層建築向けの構造材・工法の研究が進んでいる。◆国土交通大臣による木質部材(梁・桁)の耐火性能認定について、平成24年度は4件が新たに認定された。◆CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)は、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した重厚なパネルで、断熱性、遮音性、耐火性や強度が高く、ヨーロッパで急速に普及。スギ等のCLTの普及により地域材需要の飛躍的な拡大が期待されている。◆国産材を利用したCLT開発の取組では、25年度内のJAS規格制定を目指す。規格制定後、建築関係告示の整備が必要なため、林野庁では必要となる強度データの収集等について積極的に国土交通省の取組に協力している。◆また、木材加工業者3者がCLTの開発と規格化等を目的として「日本CLT協会」設立した。◆CLTは耐震性や断熱性、遮音性に優れ、重さが鉄筋コンクリートの6分の1と軽量。工期を3割短縮、全体コストを1割以上低減できるという。

(8月26日号掲載)

◆『木製家具』をテーマとした『国際家具デザインコンペティション旭川2014』は、6月1日より全世界に向けて作品募集が開始された。3年に一度開催し、来年の開催で9回目を迎える。◆コンペティションは世界50か国から1000点前後の応募が安定して出てくるようになり、そのうち約半数が日本からの応募。◆日本の家具職人たちは、修理・再生しながら長期間の使用と鑑賞にたえるものをつくることに誇りを持っている。応募作品から選ばれた入選候補作品は、旭川の優れた職人によって現物試作ができることに加え、市場性のある作品については商品化の可能性もある。◆木材を主材とした家具のデザインコンペティションであり、地球環境を守るための「森林資源の保全と循環」にわずかでも寄与したいという思いが根底にある。◆大量生産、大量消費、そして大量廃棄の悪循環をどこかで断ち、「上質な家具を長期間愛用するライフスタイル」を提案することがひとつの目的。◆入賞すれば製品化がされプロへの登竜門となる。

(8月22日号掲載)

◆『半澤直樹』のテレビドラマが高視聴率を上げている。キッチリ浅野に倍返し”なるか?◆企業は組織で動き、従業員は上司に将来を預けている。困った上司の下で働く従業員にとっては、真剣な死活問題になる。◆最近よく問題になっているのは、企業内格差。アルバイトや派遣で年収200万円程度なのに、上司の部長は1000万以上、なのにどうみても、上司の方が働いているとはいえない。◆これを、従業員の単なる愚痴と片付けてしまうことはたやすい。しかし、中には本当に、働かずに威張るばかりで、部下を助けずこき使い、しかも仕事を邪魔するばかりか、有能な部下を潰しにかかる上司がいるという。◆このシビアな時代にそんな上司なんかいないと思われがちだが、残念ながら、実際にいるという事態を想定せねばならないのも現実であろう。そんな上司の餌食にされたら、たまったものではないのである。それが原因で、一生を棒に振ることだってあるのだ。◆21世紀のこの時代に、まさか……あなたの周りでは、いかがだろうか?

(8月8・12日合併号掲載)

◆日本の盆栽の海外輸出が飛躍的に伸びている。アジアや欧米を中心に、日本文化への関心に加えて自然を凝縮したアートとしても楽しまれ、「BONSAI」は 国際語として定着。輸出額は10年前の約10倍。◆主な輸出先は中国、イタリア、オランダ、米国など。アジアでは富裕層がステータスシンボルとして 高額な盆栽を買い求め、欧州では簡易な盆栽がインテリアとして受け入れられる傾向にある。丁寧に育てられた日本の盆栽は芸術品としても普及しているという。◆盆栽は、平安時代に中国の唐より入ってきてから、現在まで続いている日本の伝統文化。様々な技法を駆使し、一本の木からその背後に広がる景色まで感じ取れるように、小さな鉢の中にどこまでも広がる雄大な大自然を創りだす。◆また 表現技法だけではなく植物を永く管理する上での栽培技術も素晴らしく、現在でも樹齢100年を超す盆栽が数多く存在している。◆小さな鉢の中に宇宙を創りだす盆栽、その楽しみ方を学ぶとともに、各自の人生観を映し出すような盆栽を自分の手でつくり、育てていく。◆皆さん、侘び寂びを求めてみませんか。盆栽が『BONSAI』になる前に。

(8月5日号掲載)

◆第14回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示内容が発表された。◆平成26年6月7日から11月23日開催する予定の日本館展示テーマは太田佳代子(展覧会オーガナイザー・編集者)が提案した「現代建築の倉」。◆同ビエンナーレ総合ディレクターのレム・コールハースが提案した共通のテーマに合わせる形で「日本建築の近代化100年の歴史」をテーマに掲げ、日本館を日本建築の100年の歴史が詰まった「倉」として展示を行う。◆この建物はル・コルビュジエに学んだ吉阪隆正の近代建築で、26年は正倉院や高床式建築のような、アジア古来の倉のように構成。地面から持ち上げられた展示室が倉、下のピロティ空間が「現在と未来」を生成する発信や議論の場となる。◆倉には、図面や模型だけでなく、建築家のスケッチや手帳、手紙、構造・設備の図面、建築の一部としてデザインされた家具、建設工事の記録映像などを結集する。◆指名コンペティション最終候補には、隈研吾『モダン・ディテール』ほか岡崎乾二郎、倉方俊輔、松隈章、松隈洋の企画が残っていた。

(8月1日号掲載)

◆81年前に建てられ、東京大空襲を逃れて生き延びた東京・銀座のビルが6月、ギャラリーに生まれ変わった。これが「銀座レトロギャラリー MUSEE(ミュゼ)」。経営は川崎ブランドデザイン。◆外壁は昭和初期に流行していたレンガ調のスクラッチタイル貼りで、今年初頭までは、小料理屋が約40年にわたって営業していた。◆1階はギャラリーA。3・5mの高い天井高と、日本伝統建築ならではの杉板が特徴。2階はギャラリーBとC。白亜の壁、天井に、ニレという栗無垢材を使用したフロア。ネルソンとパントン、オックスチェアの名作チェアが置いてある。◆タワー新築による取り壊し計画から一転、建築を愛する住民の声を受け止め保存を決意。本来持つ美しさを引き立てるように改修された。◆時を刻むことで、建築も味わいが醸成され“昭和レトロ”の魅力を増していく。そして、後世に語り継ぐべき素晴らしい建築となる。◆歴史的建造物の保存と活用は「車の両輪」であり、どちらか片方が欠けていては双方が成り立たない。最も大切なことは「建物を大切にずっと使い続ける」では。

(7月29日号掲載)

◆2回目となる「瀬戸内国際芸術祭」は、瀬戸内海の四季を感じてもらうため、春、夏(7月20日〜9月1日)、秋の3期、計108日間。◆中西讃の島々も会場に加えた瀬戸内海の12の島と高松港、宇野港周辺を舞台に一段とスケールアップして開幕した。◆豊かな歴史と風土に育まれた瀬戸内で、3年に1度開かれる現代アートの祭典。今年は、季節の移り変わりを楽しみ、ゆったりした気持ちで島々を巡ることができるよう設定されている。◆小豆島町坂手に現代美術家のヤノベケンジさんとタレントで映画監督のビートたけしさんが共同で作品を出展。古井戸から赤い目の巨大な化け物となった水の神様が時折、姿を現す寓話的なオブジェ。自然を壊してきた人間に対する神の怒りを表現。水の神様・八大龍王を祭る洞雲山の麓に展示されている。◆小豆島は、アジアの作家たちの作品が融け合う。犬島は「家プロジェクト」が展開。粟島は、若手作家と島民の交流が生み出す作品群。◆アートによって過疎化していく島を再活性化なるか。

(7月25日号掲載)

◆「ブラック企業」という用語が、市民権を得つつあるようだ。◆自民党雇用問題調査会では、若者の雇用対策の一環として、4月にブラック企業の公表が盛り込まれた。◆具体的には、重大・悪質な場合の司法処分と企業名の公表、問題企業への就職抑制策の検討、相談窓口の開設など。詳細を議論し、まとまり次第、厚生労働省など関係省庁に政策推進を要請するはずだった。◆結局、参院選の公約に明確な形で盛り込むことは見送られたが、他の党の一部は社名公表を公約などに盛り込んだ。◆ウィキペディアによると、ブラック企業とは、広義には入社を勧められない労働搾取企業。英語圏では一般的にスウェットショップ、中国語圏では血汗工場とも呼ばれる。◆内容は、労働法やその他の法令に抵触し、意図的・恣意的に従業員に強いたり、極端な長時間労働を従業員に強いたりする、もしくは暴力的強制を常套手段としながら本来の業務とは無関係な部分で非合理的負担を与える労働を従業員に強いる体質を持つ企業や法人のことを指す。◆過重労働による睡眠時間の減少、心理的重圧と緊張の絶えざる負荷は、心身の変調をもたらす。

(7月22日号掲載)

◆美食のワールドカップがNHKBSプレミアムで7月7日放送された。◆世界24か国の若き精鋭シェフが創作フランス料理の腕を競い合うもので、強豪・北欧勢と本家フランスとの激突、そして日本の侍シェフの悲願の挑戦に密着。◆フランス・リヨンで開かれる2年に一度の世界最高峰の料理コンテスト「ボキューズ・ドール」。5時間35分以内で完成し、審査員14人分を作らねばならぬ。本来ならば、倍の時間がかかるらしいのだが、練習に練習を重ね、時間をそぎ落としていく。◆日本側代表は、再挑戦するちょんまげ侍・浜田統之(軽井沢のホテル料理長・37歳)。◆日本での試食会では、酷評され涙を流したが、見事にこれらを乗り越えて、世界の表彰台へと登りつめた。◆浜田は「日本でしかできないフランス料理が、世界に認められたことが何より嬉しい。これは、ゴールではない。」とコメント。◆日本勢は過去最高位が6位。今回は、堂々の銅メダル。魚料理においては、第1位のフランスを大きく引き離し、世界1位の得点。◆特に、日本の技術を駆使したプラッター、器、刃物等が美しい。

(7月15・18日合併号掲載)

◆日本のプロオーケストラ・メンバーのための音楽祭である『アフィニス夏の音楽祭』が昨年山形で開催され、今年は広島市で開催される。また、来年は山形である。◆世界で活躍する演奏家を講師に迎え、相互交流とレベルアップの機会を提供。地元のアマチュア演奏家や市民との交流事業も展開される。◆以前は長野県の飯田で毎年開催されていたが、広島・山形で交互に開催されることになった。理由は、両都市とも広響や山響をベースにしたオーケストラがあるかららしい。◆主催するアフィニス文化財団は、日本たばこ産業鰍ノより財団法人として設立され、昨年に公益財団法人に移行した。◆一般公開のもとに行われる「セミナー」は、参加者と招聘演奏家が、共に音楽づくりに取り組む。管弦楽の基礎である室内楽をメインに、多彩な楽曲を課題曲として設定。世界から集まった音楽家たちが一つになって音楽をつくり上げていく。◆また、セミナーの成果を発表する舞台となるのが、室内楽とオーケストラの演奏会。◆音楽創りの原点。

(7月11日号掲載)

◆朝日新聞の6月29日付けで、「福島で政府説明会、再除染応ぜず被曝量、自己管理を提案」の記事を読んだ。◆内容は、政府が福島県田村市の除染作業完了後に開いた住民説明会で、空気中の放射線量を毎時0・23マイクロシーベルト(年1ミリシーベルト)以下にする目標を達成できなくても、一人ひとりが線量計を身につけ、実際に浴びる「個人線量」が年1ミリを超えないように自己管理しながら自宅で暮らす提案をしていた−という記事。◆国策で原発を進め、福島の事故を起こした。責任は政府にあると言うべきだろう。復興増税し、復興予算をつけておきながら関係のないところに遣い、最も必要なこういう場面に使わないというのはどういうことなのだろう。◆福島原発事故から2年以上の歳月が経過し、福島では放射線量が下がるどころか、除染した場所を中心に各地で放射線量が少しずつ上昇しているという報告が相次いでおり、再除染を求める声が増加している。◆一方、空間線量は「平均値」。個人個人についての条件はどうなのか、一切、語ってくれない−という。

(7月8日号掲載)

◆国土交通省の「地域の建設産業及び入札契約制度のあり方検討会議」は、2回目の会合で、前回会合で示された予定価格の設定の在り方の見直し、監理技術者の受験資格要件の緩和、インフラ維持管理の高度化に対応した入札契約方式などの具体策を議論。◆7月以降に開く有識者会議などで国交省としての考えが示されることになり、本格化することになる。◆受験資格要件の緩和では、高卒者が1級技士資格を早期に取得できるよう求める意見が強まりつつある。◆現状では、1級土木施工管理技士は高卒の場合、実務経験のみで11年、2級を取得してから専任技術者の経験を積んだ場合でも最短で8年が必要となる。◆具体的には、基本問題小委員会で示していくことになるが、受検に必要となる実務経験の期間と、年数を引き下げた場合の技術力をどう担保するかが焦点。◆さらに、ダンピング対策を強化するため、予定価格の設定の在り方を見直す必要性も指摘され、インフラの老朽化対策を適切に進めるための積算の改善、技術提案を踏まえた予定価格の作成などを検討する。◆7月以降の有識者会議での制度設計を見守りたい。

(7月4日号掲載)

◆モンテディオ山形を運営する県スポーツ振興21世紀協会(高橋節理事長)は、来年2月からトップチーム経営に携わる「パートナー企業」に、マネジメントコンサルタント業「アビームコンサルティング」(東京都千代田区、岩沢俊典社長)が決まったと発表した。◆アビームは昭和56年4月に設立。NECと資本提携を結び、後に子会社となった。資本金は62億円。1子会社と合わせた12年3月期の連結売上高は483億円、従業員は4184人。国内事業所のほか、アジアを中心に欧米にも拠点がある。◆下手な有名企業より実績があるように感じられる。文字通りパートナーとしての参入のようだ。また、経営規模を10億から20億にすることを目指す。プロの経営力と戦略で、モンテ自体の価値を倍増させる事なんだろう。◆アビームの松田執行役員は、施設運営と集客アップを最優先課題に財政基盤強化を図るとし、8月にも株式会社を新設。新スタジアム構想については、埼玉スタジアムを分析し、サッカー以外での事業実績も含めて協会側に提示したという。◆新スタジアム構想の具現化が気になる。

(7月1日号掲載)

◆どの角度から見ても美しい中世ヨーロッパの古城の風格を漂わせるダムが香川県観音寺市にある。◆これが豊稔池ダム(又は豊稔池堰堤)。現存する日本最古の石積式マルチプルアーチダム。平成18年、国の重要文化財(建造物)に指定されている。◆堤長145・5m、堤高30・4mのコンクリート造溜池堰堤で、両端部を重力式、中央部が5個のアーチと6個の扶壁からなり、その先駆的かつ希少な構造形式は農業土木史上価値が高く、また、昭和前期における堰堤建設の技術的達成度を示している。多連式アーチダムとしては、宮城県仙台市の大倉ダム(2連式)を含め、全国に2つしかない。◆田植えの時期には地上30mの堤からの放水や、初夏のユル抜きには、放水の絶景に多くの観光客が訪れる。◆また、大分県竹田市の白水溜池・通称白水ダムは、「日本一美しいダム」と呼ばれ、レースのような波紋を刻んで流れる風景は素晴らしいという。◆古い時代に造られたものには、人をひき付けてやまないものがある。

(6月27日号掲載)

◆高速道路の上に浮かぶ公園があるという。その名も「目黒天空庭園」。気になってネットで調べると、確かに空中に公園が浮かんでいる。◆東京都目黒区の首都高速道路大橋ジャンクションの屋上に区立公園「目黒天空庭園」がオープンした。区が無償で屋上を借り受け整備したもので、事業費は約10億8千万円。◆ループ状の道路に沿った珍しい形状で、長さ400m、幅16〜24m。高低差は24mで最も高い所は地上から35mあり、面積にして7000u。◆屋上の耐荷重は2t/uあり、植栽基盤には黒土と黒曜石系パーライト(30%)を使用している。約5000m3の土はトン袋に入れ、約6000袋をクレーンで吊って屋上まで搬入。排水対策として園内の21ヶ所に貯水槽を設け、浸透した雨水をためて少しずつ排水できるようにしている◆庭園のコンセプトは「和風の回遊庭園」。五葉松や信楽焼のタイルなど、和テイストの装飾を多用。その他に、段々畑、雑木のトンネル、実のなる柑橘類、竹林などのエリアがある。◆公園の下に高速道路が走るという不思議なシチュエーション。植物、富士山を見ながら空中散歩。

(6月20・24日合併号掲載)

◆神奈川県横浜市内で、国内最大級の木造商業施設「サウスウッド」の建設が進んでいる。◆この施設は「平成23年度木のまち整備促進事業」に採択されたプロジェクトで、日本初の耐火木造の梁と柱を採用した木造ラーメン構造の大規模商業施設。◆柱や梁に、カラマツ集成材の荷重支持部と燃えしろ層との間にモルタルの燃え止まり層を設けた3層構成の耐火集成材を採用することによって耐火性能を確保し、大規模商業施設への導入が実現した。◆柱や梁の「燃エンウッド」は、建築基準法が定める1時間の耐火性能を有し、約9mスパンの空間性が高い。◆竹中工務店が横浜都市みらいから受注したもので、地下1階、地上4階、延床面積1万874・33uの商業施設。今秋の竣工を予定している。◆最近では木造耐火構造の物件が話題になり、大阪木材仲買会館(大阪府)、音ノ葉グリーンカフェ(東京都)、イオンタウン新船橋(千葉県)など木造耐火建築物が相次いで竣工。木造でも耐火構造で出来ることが認知されてきた。

(6月17日号掲載)

◆シラスウナギ(稚魚)の不漁で、ウナギ価格は昨年並みからやや高めに推移する見通しだ。これから本番の夏「土用のうしの日」に向け、ウナギ好きには目が離せない。◆ウナギは謎が多く不思議な生き物。シラスウナギになるまでの餌や淡水域で育った親ウナギがどの道筋で推定産卵場所へ回帰するのかなど解明されていないことが多い。◆また淡水でも海水でも生きられ、空気中でも体さえ濡れていれば長時間生きられる。サケと逆で、川で育ち海で産卵する。◆つい最近、ニホンウナギの国際協議が上海で開かれ、国際的資源管理に係る協力について実質的な議論を行った。◆また、水産庁は、ウナギを安定供給できるようにするため、「ウナギをめぐる最近の状況と対策について」を取りまとめた。どうやら、シラスウナギの大量生産技術の開発を始めとする調査・研究等を推進、養殖のための運転資金の借り入れを融資・保証により支援するらしい。◆私は余り好きではないので、代用しているハモ、ウツボ、アナゴでもいっこうに構わない。

(6月13日号掲載)

◆自民党公共工事品質確保に関する議員連盟の公共工事契約適正化委員会では、建設産業の再生と良質な社会基盤の形成、建設労働者の雇用と所得の確保、適正な価格による良好な公共工事の執行を目指し、着実で計画的な社会基盤の整備を進めている。◆4月2日には、全国建設業協会と日本建設業連合会にヒアリングを実施。地域建設業存続には予定価格の上限拘束性撤廃を視野に入れた法制度が必要で、多様な入札契約制度の導入や発注者のルール共通化を求めた。◆これは、入札価格が予定価格を1円でも上回ると許されないのは矛盾しているとし、予定価格の上限拘束性撤廃を視野に入れた公共調達の基本を定める抜本的な法改正が必要と強く訴えた。◆また、委員からは、安い方が良いという法律に守られており、これを直さない限り建設業の将来はないと新法制定の必要性を強調。◆国交省では品確法改正可能性に言及。発注者責任を明確にする可能性があることを示した。◆せっかく国民の税金を使って公共事業を行っても、赤字を含め利益が出ないような落札結果では。

(6月10日号掲載)

◆東京・大手町のオフィス街、世界屈指の外資ホテルがひしめく激戦区に純和風の高級旅館が進出する。◆東京駅の北西約500mに、地上18階、地下3階のビル1棟(延べ床面積約1万2000u)丸ごと純和風の旅館「星のや 東京」を計画するのは、日本の観光業界では勝ち組と言われる星野リゾート(長野県軽井沢町)。◆「玄関で靴を脱ぐ」「全室畳敷き」の「温泉」がある旅館で、2016年夏の開業を目指す。客の半分に外国人を見込む。◆「塔状の旅館」という概念を設定。外壁には江戸小紋の考え方を導入。建物全体のデザインは重箱をモチーフとすることで和を表現、建物の角は丸く設計されている。◆同社の「星のや」としては、軽井沢、京都、竹富島に次いで4軒目。現在、三菱地所が進めている「丸の内再構築プロジェクト」の一環に位置し、日本旅館の哲学と運営手法を取り入れ、世界に発信していく。◆次に続くプロジェクトは、世界遺産となった富士山をみるために存在する旅館「星のや 富士」。

(6月6日号掲載)

◆建設経済研究所の建設経済レポート(平成25年4月)によると、入札制度はこれまでの急速な改革に伴う課題を解消し、今後の安定的な制度構築のために、今一度柔軟な発想に立って検討すべき時期に来ている−とキッパリ。◆一般競争入札は、手続き期間の短縮や提出書類の簡素化、総合評価方式の併用を進めるとともに、不良不適格業者の排除や地域建設業の維持などに配慮しつつ、一般競争入札の趣旨を没却するような過度な条件設定は見直していく必要があると指摘。◆また、工事の規模・種類、地域建設業の状況等を勘案して、指名競争入札が望ましい場合は積極的に指名競争入札を活用すべきと指摘。◆15ヶ月予算に伴う発注が本格化する中、入札手続期間短縮や技術者の兼任要件緩和、指名競争入札拡大などを打ち出す自治体も出ている。◆指名競争入札は、参加者指名から入札までの期間が短く、早期発注に効果的とみている。また、建設業界側からは、選別受注が進む中で、地元企業の受注機会確保などにも効果があるとして、拡大を要望する声が上がっている。◆入札契約制度改革は、極めて急激なテンポで進んでいる。

(6月3日号掲載)

◆県内の「ハチ蜜の森キャンドル」ではアルゼンチンの蜜ろう100%を使い、「マルタ醸造」は内モンゴル自治区産のJAS有機大豆などを使い、フェアトレードを行っている。◆フェアトレード(公平貿易)とは、発展途上国で作られた作物や製品を適正な価格で継続的に取引することによって、生産者の持続的な生活向上を支える仕組み。◆これまでの一方的な資金援助は、援助する側の都合によって左右され、継続性に欠けるという問題点があった。◆それに対し、フェアトレードは、消費者が自分の気に入った商品を購入することで、出来る身近な国際協力の形。この方法なら、援助する側の負担も少なく、無理なく継続的な援助ができる。◆需要や市場価格の変動によって生産者が不当に安い価格で買い叩かれ、あるいは恒常的な低賃金労働者が発生することを防ぎ、また児童労働や貧困による乱開発という形での環境破壊を防ぐことを目的としている。最終的には生産者・労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指す。◆日本は海外に比べるとまだまだ市場は小さいが、少しずつ増える傾向にある。

(5月30日号掲載)

◆安倍晋三首相は、外国人観光客の誘致に日本の文化やファッション、アニメなどを発信する放送コンテンツの海外展開が有効とし、500億円規模の官民ファンド「クールジャパン推進機構」を発足させることを表明した。◆クール・ジャパンは、直訳すると「かっこいい日本」。世界から高い評価を受けているアニメ、漫画、映画など日本文化を積極的に発信するという動きのことを指す。麻生財務大臣の首相時代一度話題となり、注目を集めた経緯がある。◆また、経済産業省では、クール・ジャパンを担う企業・クリエイター等が海外市場に展開をしていくための、具体的なビジネススキームとその実施にあたってのプロジェクト提案を受け付けている。◆しかし、見方によっては、あらゆる分野がクール・ジャパンとなり得る。個別案件に対する支援の決定は機構が行うこととなるが、今後、機構がターゲットとするべき市場を見極めるための方向性を示す必要があるのでは。

(5月27日号掲載)

◆近年、木造利用および木造建築への関心が高くなっている。◆今までは戸建住宅が中心で、大規模木造建築物に対しては過去の市街地火災における被害などを踏まえて、建築基準法が厳しく防火規制を行ってきた。◆しかし、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行、国土交通省は木造3階建て学校について、必要な研究を進めた上で規制見直しを行う方針を示した。◆現在、建築基準法では、3階建ての学校を鉄筋コンクリート造のような耐火建築物とすることを義務付けているが、木造で建てても火災に対して十分な安全を確保できるようにすべく研究を進めている。◆建築分野における木材の利用を増やすには、これまでに木材利用が困難であった集合住宅や学校、事務所ビルなどの中層・大規模建築物を木造で建築することが最も効果的だ。◆一見、これは火災安全の観点からは逆行するような動きと言えるが、木材を安全に使う知恵や技術が必要とされていると考えるべき。◆木材の特性を活かしつつ、火災安全を確保した木造建築が都市の中に増えていくことを期待したい。

(5月23日号掲載)

◆「BOPビジネス」。余り聞かない言葉である。これは、朝日新聞に掲載になった「もやしのきずな」の記事。◆発展途上国の貧困層をビジネスを通じて支える仕組みだそうで、日本企業の間でも広まっているという。一方的な援助ではなく、互いに利益のある形を模索し、息の長い支援をめざすもの。◆発売するのは、雪国まいたけ(新潟県南魚沼市)で、バングラデシュ現地で貧困層を支える事業を展開するグラミングループなどと合弁会社を設立。日本からは栽培技術を、グラミンからは農家指導や融資のノウハウを合弁会社に提供し、緑豆生産に取り組んできた。◆こうした活動は「BOP(ベース・オブ・ピラミッド=低所得層)ビジネス」とも呼ばれ、世界の所得別人口構成の中で、最も収入が低い所得層を指す言葉で、約40億人がここに該当すると言われる。BOPビジネスは、市場規模が約5兆ドルにも上ると言われるこの層をターゲットとしたビジネスのこと。◆日本は欧米諸国と比較して、具体的な取り組み事例が少ないのが現状。

(5月20日号掲載)

◆我が国が世界遺産一覧表への記載を推薦している「富士山」について、文化遺産の評価を行うイコモスにより、「記載」が適当と勧告された。◆今後は6月16日から27日まで、プノンペンで開催される第37回世界遺産委員会において、イコモスの勧告を踏まえ、「富士山」の世界遺産一覧表への記載の可否が決定される。◆イコモスの評価などでは、富士山は疑いなく日本における一つの国家的な象徴、その影響は日本をはるかに越えて及んでいる。しかし、三保松原は寄与していると見なせない一つの構成資産と断定した。◆富士山は、日本最高峰の秀麗な円錐成層火山として世界的に著名であり、その荘厳で崇高な形姿を基盤として日本人の自然に対する信仰の在り方や日本に独特の芸術文化を育んだ山。◆世界遺産の総数は、936件で、我が国の世界遺産は、文化遺産12件、自然遺産4件。◆富士山に長さ300mにわたる亀裂が生じ、河口湖の湖水が減少するなど、いくつかの異変が確認されているのが不気味だ。

(5月13日号掲載)

県で整備していた緑町庭園(旧服部邸洗心苑)が、7月にオープンする。◆場所は、遊学館、文翔館、教育資料館など周辺に文教施設が多く存在するいわゆる『総合文化ゾーン』◆山形新聞社長を務めた故服部敬雄氏の居宅敷地内に造られた庭園で、所有していた山形新聞社、山形放送、服部家他が県に寄贈したもの。◆日本を代表する作庭家・岩城亘太郎氏によるもので、緑に囲まれた心落ち着く、ゆったりとした演出で、東北一の庭園。造園の歴史的にも希少性においても非常に価値が高い。◆県では、庭園を活用しながら、書、絵画等を展示できるスペースを整備しており、芸術文化をはじめ生涯学習等に幅広く県民に活用して貰うことにしている。◆岩城氏は、ジュッセルドルフ日本庭園の造園設計で、日本造園学会賞を受賞。代表作には、迎賓館赤坂離宮和風別館庭園、ホテルニューオータニ日本庭園、茶道宗遍流止観亭、西山荘、鳳琳カントリー倶楽部など。◆岩城氏の言葉で有名なのが、「人間が下衆であると庭も下衆になる」、「人格以上の庭はつくれない」があり、まさにその通り。人が、心が何よりも大切であるということ。誠実であるという事。

(5月9日号掲載)

◆近年、木造利用および木造建築への関心が高くなっている。◆今までは戸建住宅が中心で、大規模木造建築物に対しては過去の市街地火災における被害などを踏まえて、建築基準法が厳しく防火規制を行ってきた。◆現在、建築基準法では、3階建ての学校を鉄筋コンクリート造のような耐火建築物とすることを義務付けているが、木造で建てても火災に対して十分な安全を確保できるようにすべく研究を進めている。◆海外でも従来、大規模な木造建築は制限されてきたが、規制緩和が進められ、中層の木造建築物の建築が可能となっている。イギリスでは9階建ての木造集合住宅までが建築されている。◆木造を制限し建築物の不燃化を進めることで、火災に強い都市をつくってきた。しかし、現代は省エネ、省CO2を進めて持続可能な都市を目指すため、木材の利用が見直されている。◆一見、これは火災安全の観点からは逆行するような動きと言えるが、木材を安全に使う知恵や技術が必要とされていると考えるべき。◆木材の特性を活かしつつ、火災から安全を確保した木造建築が都市の中に増えていくことを期待したい。

(4月29日・5月2日合併号掲載)

◆鶴岡市は、クラゲの展示種類数でギネス世界記録の認定を受けた市立加茂水族館を改築するため、住民参加型の公募債「クラゲドリーム債」を発行。3億円の発行額のすべてが即日で完売となった。◆総事業費は約30億円、費用の一部を賄おうというもの。次回は、平成26年春頃に6億円の発行を予定している。総務省によると水族館改築での発行は珍しいという。◆本館を鉄筋コンクリート3階建に改築、ミズクラゲ1万匹展示できる世界最大級の円形水槽(直径5m)を設置する。◆一方、水槽と言えば「日プラ」。アクリル素材を使った製品の製造・加工で高い技術力を誇る。沖縄美ら海水族館の巨大水槽の窓には、同社が製作した高さ8・2m、幅22・5m、厚さ60pのアクリルパネルが設置された。◆さらに、シンガポール・セントーサ島のリゾート・ワールド・セントーサにある世界最大の海洋水族館、シー・アクアリアム。◆観賞用ガラス部分は横幅36m、高さ8・3m、海底散歩をしているようなアトラクションも備えている。

(4月25日号掲載)

◆安倍晋三総理大臣は、長嶋茂雄氏及び松井秀喜氏に対し、国民栄誉賞を贈り表彰することを決定。両氏の表彰式は5月5日、東京ドームで行う予定。◆長嶋氏は野球界の発展に貢献し、国民に深い感動と、社会に明るい夢と希望を与えることに顕著な業績があった。松井氏は、野球界において、日米両国を舞台にした功績は、社会に大きな感動と喜びを与えた−としている。◆これまでに王貞治氏、植村直己氏、長谷川町子氏など20個人1団体(サッカー日本女子代表)に対して授与されている。◆国民栄誉賞の目的は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」と規定。対象は、「内閣総理大臣が本表彰の目的に照らして表彰することを適当と認めるもの」とあり、かなり幅広い解釈。◆辞退した人物は、939盗塁を達成した福本豊氏、水泳で2大会連続、2個の金メダルを獲得した北島康介氏、メジャーリーグで日本人選手史上初となる首位打者を獲得する活躍を見せたイチローは、まだ現役で発展途上の選手なのでと固辞した。◆今まで授与された方たち以上に、相応しいと言われている人がいるのも現状では。

(4月22日号掲載)

◆建設業界が改善を期待している課題の一つは、予定価格の上限拘束性の撤廃。◆建設業関係団体では「公共工事調達制度のあり方に関する提言」の中で、「必要な場合には、予定価格制度の適用を行わない旨を法的に規定する」ことを求めている。◆予定価格の上限拘束性は、歳出予算枠を超えないように予算管理を行うために設定されている。だが、この予定価格制には様々な問題点が指摘されている。◆上限拘束性を持つ予定価格を維持しているのは先進国では日本だけ。予定価格を超える応札でも失格にせず、むしろ価格提案を包含し、質的提案との整合性を明確にチェックしていくことが必要。◆予定価格については、価格変動に対応できない、予定価格の積算に多大のコストがかかる、施工の実態が充分反映されない、新工法の可能性を反映できないなど、予定価格と入札価格との近接性から外国企業には理解し難い等が指摘されている。◆公共調達基本法、予定価格上限拘束性の改善などを提示した自民党議員連盟に期待したい。

(4月18日号掲載)

◆最上義光公没後400年記念として霞城観桜会が霞城公園とその周辺で催される。◆今年度は、節目の年度にあたり、業績や人となり、城下町の成り立ちなどを広く知ってもらうことを目的として、様々な記念事業を開催するもの。◆義光は、将軍足利義輝の偏諱を得て義光と名乗った。山形城を本拠に、弟義時、一門天童頼久はじめ一族のほとんどを討ち、白鳥氏や寒河江氏を討滅、庄内地方の武藤氏を倒し、越後の本庄繁長と抗争。伊達氏の脅威を払わんと、義弟伊達輝宗や甥の伊達政宗とも対立抗争を繰り返した。◆また、関ヶ原の戦いでは、徳川家康方につき、上杉部将の直江兼続と激戦。戦後に庄内三郡のほか由利郡の領有も確認されて57万石の大大名。当時の57万石は全国5番目の大大名。◆連歌については多くの句を残し、その官位である「近衛少将」の漢名である「虎賁郎将」から出羽の虎将と呼ばれた。◆渡辺謙さん主演のNHK大河ドラマ独眼竜政宗で故・原田芳雄こと最上義光の印象は悪い面で登場したため、あまり良い人物として語られることが少ないのが残念。◆調略として、戦わずに勝つ方法は無意味な殺戮を避けることができる。

(4月15日号掲載)

◆3月29日に国土交通省が「技能労働者への適切な賃金水準の確保に係る要請」を公共発注者と建設業団体等に通知した。◆これは、ダンピング受注の激化が、賃金の低下や保険未加入を招き、これが原因となって、近年、若年入職者の減少が続いている。その結果、技能労働者の需給のひっ迫が顕在化しつつあり、入札不調が発生しているとの認識から。◆各団体あての要請内容をみると、建設業団体には、技能労働者への適切な水準の賃金支払、社会保険等への加入徹底、若年入職者の積極的な確保、ダンピング受注の排除。また、公共発注者には、平成25年度公共工事設計労務単価の早期適用、ダンピング受注の排除など。◆若年者が建設業への入職を避ける一番の理由は、全産業の平均を約26%も下回る給与の水準の低さであり、また、最低限の福利厚生であり法令により加入義務のある社会保険等に未加入の企業が多いことも大きな原因の一つである。◆翌年度の公共工事設計労務単価改訂に反映されるだけに、今が正念場である。

(4月11日号掲載)

◆安倍政権の経済政策「アベノミクス」への期待感から景気に明るさも出始めている中、4月1日、新入社員を迎える多くの会社で「入社式」が開かれた。◆ワイドショーでは、ユニークな入社式を取り上げている。三菱鉛筆では小刀を使って鉛筆を削り、コロンブスでは先輩社員と靴を磨きあう。フジテレビでは「ももいろクローバーZ」が登場。広島のお多福グループでは「親子同伴の入社式」。◆また、昨年9月に再上場した日本航空は、新卒採用再開で、3年ぶりの入社式を開いた。新入社員らは、恒例により先輩からの激励メッセージが書かれた紙飛行機を一斉に飛ばした。◆一方、「楽天」の入社式は、すべて英語。三木谷社長が「ダイナミックで変化のスピードが速く競争が激しい時代に、努力を惜しまない姿勢を忘れないようにしてほしい」と新入社員を激励。また、スズキの鈴木修会長兼社長は「スズキだけは永久に発展し続けるという信念を持って」と語りかけた。◆かたや、米国で入社式が話題になることはないという。大規模な新卒一括採用もなく、新入社員もスキルアップしたら、よりよい条件を求めて転職するのが当たり前。会社も「入社式」など重視せず、やってないらしい。

(4月8日号掲載)

◆3月23日にBS日テレが放映した中谷美紀のトルコ紀行「天才建築家シナンが遺した奇跡」を見た。◆シナンに魅せられた女優が、トルコへと旅立ち、天才建築家シナンの軌跡を追う。歴史を紐解きながら、その謎に迫る2時間のドキュメンタリー番組だ。◆史上最大のモスクに挑んだ天才建築家。16世紀、壮麗王スレイマン大帝のもと繁栄を誇るオスマントルコ帝国に、工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた。100年の生涯で477もの建造物を手がけ、形なきイスラムの神を空間に描こうとした「石の巨人」。◆聖ソフィアのドーム越えをずっと追求し続け、80歳にしてようやく建築に着手。セリミエ・ジャーミーが完成したのはシナンが87歳の時。1000年以上にわたり不可能と思われていたことが現実となった瞬間である。◆目を留めたのは、リュステム・パシャ・モスクの膨大な量の優美なイズニックタイル。瑠璃色の深い青、ターコイズブルー、エメラルドグリーンそして血のような赤。素晴らしい。

(4月4日号掲載)

◆「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞の今年受賞者に、世界的な建築家・伊東豊雄氏が選ばれた。◆プリツカー賞は、アメリカのハイアット財団から建築家に対して授与される賞。歴史は浅いが、建築界のノーベル賞と謳われ、建築家としては受賞するのはこのうえない名誉。◆日本人の受賞は故・丹下健三氏、槇文彦氏、安藤忠雄氏、SANAAの妹島和世氏・西沢立衛氏に続き6人目。◆伊東氏は、1941年6月1日、朝鮮京城生まれ、東大卒。菊竹清訓の事務所を経て、71年アーバンロボット、のち伊東豊雄建築設計事務所開設。86年自邸シルバーハットで建築学会賞。その他に村野藤吾賞、術院賞、王立英国建築家協会のロイヤル・ゴールドメダル賞、金獅子賞を受賞。◆伊東氏は、NHKで「革新的建築物でありながら、利用する人たちの居心地のよさを考えている点が評価されたと聞いており、大変光栄に思っている。東日本大震災以降、改めて建物とは何かということを考え直すきっかけとなった。」と話していた。◆岩手県釜石市の復興計画ディレクターでもある伊東氏。行政主導ではなく、市民中心の復興計画を取り入れている。

(4月1日号掲載)